カードゲームが終わって深夜25時頃。
疲れた頭を冷ますため、真夜中のサイクリングに出かける。
少し前まではそこかしこに赤いテントの屋台があって、寄り道して帰るのにちょうどよかったのだが、わずか2~3年の間にみんな消えてしまって退屈になった。
代わりに自転車で遠回りして帰るようにしてみたものの、これがいまいち楽しくない。
高架橋の上に暗闇との境目が見える。
ここから先は田園地帯で、広大な田畑を切り裂くように幹線道路が伸びている。
幹線道路であるにも関わらずこうまで暗いのは、作物の生育に影響が出ないように街灯が設置されていないから…という又聞きの話で、本当のことはわからない。
夜になると自動車ですら通行をためらう。
高架橋の下から見た市街地の灯り。
およそ800mの田園と、そのむこうに200mの幅の河川。あわせて1㎞の暗闇をまたいで見る街の灯りは、まるで知らない、行ったこともない国のように見えた。
1メートル先も見渡せないような暗闇の中だと、暗いというより、真っ黒いかたまりに身体じゅう覆われているような感じがして息が詰まりそうになる。いち早く立ち去りたい思いを堪えて、ゆっくりとペダルを漕ぎだした。